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ウィリアム・モリスとわたし


府中市美術館『アーツ・アンド・クラフツとデザイン』。


数年に1度はどこかしらで開催されているウィリアム・モリス関連であるが、今回はアーツ・アンド・クラフツ運動に絞って、レッドハウスにはじまるモリスとその盟友たちとの活動から、アメリカに渡ってフランク・ロイド・ライトに至るまでを俯瞰する内容。


「暮らしのデザイン」のはじまり、というコピーの通り、とにかく多才なモリスのデザイナーとその思想に絞っているのでわかりやすく、コンパクトに「アーツ・アンド・クラフツとは何か?」を理解できる。


モリス商会の作品はどれも状態が素晴らしく、インディゴ抜染に色を重ねるという難しい技法で生まれた「いちご泥棒」などの代表作も楽しめる。


中学生の頃にラファエル前派に出会い、そこからモリスにたどり着いたわたしは、アーツ・アンド・クラフツはじめ、思想と芸術と、そのどちらもラジカルに実践してみせたモリスの頭の中をのぞいてみたいと思い、卒論のテーマにウィリアム・モリスを選んだ。選んでみたものの、その内容は巨人モリスの活動をただひたすらなぞるだけに終始し、その「躍動」について論じることなどできなかった。


その思想・活動において、日本における柳宗悦と対比されることも多いモリスだけど、共通項こそ多いものの出発点や「工芸」へのアプローチはまったく違っていて、辿り着いた地平もずいぶん違う。


当時は「復古主義」と評されていたのに、現代においては「モダンデザインの父」とされるモリス。それは結果論でしかなく、その矛盾こそがモリスの面白さだと思っている。今回の展示ではその出口をアメリカでのアーツ・アンド・クラフツ、特にフランク・ロイド・ライトに求めていて、思わず膝を打った(打ってない)。


最後に、展覧会図録などには決して書かれない事実だが、モリスは痛風だった。わたしも痛風である。




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